2015年06月17日

海街diary

 鎌倉に暮らす四人姉妹、幸(綾瀬はるか)と佳乃(長澤まさみ)と千佳(夏帆)のもとに、女性を作って15年も前に家を出た父の訃報が届く。父が去ったあとに母(大竹しのぶ)も家を出て再婚。育ててくれた祖母も今はいない。父の葬儀のために山形を訪れた3人は、父と浮気相手の間に生まれた妹すず(広瀬すず)と出会う。すずの母はすでに死に、彼女のそばにいるのは、父の3人目の結婚相手だった。寄る辺ないすずを案じた幸は、すずに鎌倉の家に来るよう誘い、4人での生活が始まるのだった。

 しっかり者の長女幸は、母の役そのもので、妹たちの行儀にまで注意する。気ままな次女の佳乃は、姉を観察しつつ、しょっちゅうぶつかったり甘えたり。結局は共闘したりの距離感がリアルだった。ほんわかマイペースの三女千佳は、みんなのクッションのような立ち位置がいい。

 自分たちを捨てた両親を許せない幸は、祖母の法事で数年ぶりにやって来た母と、激しく衝突する。父との思い出を語ることも遠慮していたすずは、自分の存在が周囲を傷つけていると思う。
 すずが自分の母のことを幸に「奥さんのいる人を好きになるなんて、いけないよね」といい、実は妻のいる同僚椎名(堤真一)と不倫関係にある幸が、はっとするシーンが印象的だ。すずとのそんな会話によって、姉妹たちは少しずつ母や父を知り、許そうとしていくのだ。

 波乱もあるが、淡々と流れていく日常。庭木が茂る古い日本家屋。四季が移ろう鎌倉の風景が美しい。そんななか、食堂で食べるアジフライや、居間で食べるしらすの釜揚げ、大叔母(樹木希林)がもって来たおはぎなど、ものを食べるシーンが豊かできれい。
 しらすのトーストが、すずの思い出に残る父の好物だったり、ちくわカレーが祖母の味だったり。いなくなった人の面影が、食べ物のなかに宿っている。そして、代々受け継がれてきた梅酒。

 墓参りの道を歩きながら、母は「私には息の詰まる場所だった」と家のことを振り返る。そんなふとした言葉から、登場人物たちの、画面には出てこない葛藤や人生の影が、たくさんのぞいていた。すずを産んだ母をうらやましがる二宮さんには、多分子供をめぐる事情があったのだろう。佳乃の上司の坂下(加瀬亮)には、多分会社での思い切り辛い経験がある。そして、そのどれもをいとおしむ作品の視線を感じた。

 父の葬儀で始まり、祖母の法事をはさんで、最後は二宮さんの葬儀。死や人の不在やはかなさがずっと漂うなか、流れ去っていく時間が、強く意識された。4人で守っている家にもそれは流れ、きっと佳乃は誰かと暮らすために去っていくだろう。千佳はきっと店長との暮らしを選ぶだろう。すずも確実に成長していく。4人が浜辺で戯れるラストに涙がこみ上げた。
posted by HIROMI at 19:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記