2016年06月12日

殿、利息でござる

 江戸時代、仙台藩の吉田宿。やせた土地で、百姓だけでは食べていけないため、商売もしながら暮らしていた町の人々だったが、物資を輸送する天馬役を負わされていたうえ、馬の購入や飼料代、人足の費用などが町の自腹だったため、人々は困窮し、夜逃げする者が続出。残った者たちの負担が益々増えるという、悪循環に陥っていた。

 お上のやり方に憤慨する造り酒屋の穀田屋十三郎(阿部サダオ)に、策を相談された茶師の菅原屋篤平治(瑛太)は、「藩に千両を貸し付ければ、その利息百両を天馬の費用に回せる」とひらめいた。
 あまりの大金だから、絵空事だと思ったのに、十三郎はそのアイデアに飛びつき、すぐさま叔父を賛同者にして連れてきた。町のまとめ役である肝煎りや、その上の大肝煎り。彼らは、藩の行政の下部役員でもあり、計画を打ち明ければ即反対し、迫害してくるかもしれない相手なのに、すんなり賛成してくれて、え〜!な展開。
 もうかる投資と間違えて仲間に入る両替屋(西村雅彦)や、煮売り屋のとく(竹内結子)にいいところを見せようと金を出す小間物屋(中本賢)など、欲や下心も人々を動かして、ごたごたがありながらも少しずつ仲間が増えていく。

 当時の千両は、今に換算すると何と3億。それを十三郎たちは、生活を切り詰め、家財を売って工面しようとする。自分の損得を抜きに、地域のために頑張っていくのだ。町全体に図って全員から集めることはかなわないので、志をもった者が、できる限りの力を尽くそうとするのがすごい。彼らは、今の状況の理不尽さを何とかしたいだけでなく、息子や、そのもっと先の未来の町の人々の繁栄を見据えていたのだ。

 十三郎たちは中町の人間だったが、噂を聞いた下町や上町の人足たちが、競争心から、それぞれの有力商人たちを説得にかかるのもおもしろかった。そうして、十三郎の弟の、造り酒屋の浅野屋甚平(妻夫木聡)が大金を出すことに。だが、それを聞いた十三郎は、突然計画から降りると言い出すのだった。 

 長男でありながら幼い頃に養子に出された十三郎は、出来のいい弟へのコンプレックスと、父(山崎勉)に愛されなかった思いを抱きながら、守銭奴の二人を憎んでいた。彼が、弟との確執を乗り越え、父が隠していた志を知るのがドラマチック。そして、軽い気持ちの言い出しっぺだった篤平治は、十三郎とのからみでどんどん本気になっていく。

 涙ぐましい努力と忍耐で目標額を達成するものの、願いをお上に聞き届けてもらうまでが、最大の難関だった。代官が味方になってくれてお上の耳に入れてくれたのに、出入司の萱場杢(待田龍平)が即却下。熱心だった大肝煎りは、出世欲から心を離しかける。そして、やっとのことでオッケーが出たかと思うと、小判へのレート相場が変わったせいで、さらに大金が必要に。それでもまげず諦めず、骨身を削って金を集める人々の、粘り強さと団結力に圧倒された。

 最初の計画から延々6年。みんなの願いが達成され、喝采したい気分で流れたRCの「うえを向いて歩こう」、最高だった。
posted by HIROMI at 14:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記