2016年11月19日

さくら亭

 昨日、アスカスホールで、「さくら亭」落語を聞いた。
 
 一番手の桂二葉は、若い女性噺家。アホな若造が、小遣い目当てに金持ちの新居を褒めに行って、一言ごとにヘマを繰り出す話だったが、すっとんきょうな高すぎる声を聞くだけで、笑えてしまった。

 次は、笑福亭銀瓶。提灯貼りの男が、高い賃金で言い含められ、病気療養中の横綱の代わりに地方巡業に参加し、素人のすご腕と対戦させられる話。地元の顔たちにあいさつするだけでいいはずだったのに、接待ずくめで調子よく飲み食いしすぎ、病気じゃないと疑われて、相撲をとらざるを得なくなる。土俵の上のアタフタに大笑いした。

 三番目は、寝屋川市在住の笑福亭由瓶。ホラ吹きの男が、巨大なイノシシと闘ったり、北海道でカモを獲ったりした話。汗だくの熱演が面白かった。

 トリは、桂米団冶。年の暮れ、次々と家に来るツケ取りの客たちを追い払おうと苦心する夫婦の話。金を払わずに何とか機嫌よく帰ってもらうため、相手の趣味に合わせて器用に煙にまいていく。芝居好きの男の、デフォルメした歌舞伎の仕草が、とってもリアル。セリフに町名を入れたダジャレの連続すごかった。

 銀瓶はモロに相撲ネタ。米団冶も相撲に触れていて、二人とも活躍を続ける豪栄道を意識してくれるているサービスぶりで、会場が湧いていた。なのに、帰宅して見た中継では、今場所初めての負けを喫してしまって残念。今日はきっと勝って、横綱へ一直線に向かってほしい。
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2016年11月12日

ブリジッド・ジョーンズ ダメな私の最後のモテ期

 前作から数年経た今作、ブリジッド・ジョーンズ(レニー・ビルウィガー)は、何とマーク・ダーシー(コリン・ファース)と別れ、彼は別の女性と結婚している。そして、女たらしの同僚ダニエルは、これまた何と、航空機事故で死んでいるという設定。ブリジッドは、冴えないリポーターから、今や俊腕?テレビプロデューサーになっている。

 変わらないのは、超元気な彼女のママが、子供を産む人生を期待して圧力をかけてくること。43歳のバースデーを迎え、職場で大量のローソクが火を吹く、火山のようなケーキで祝ってもらったものの、女友達にもゲイの友人にもフラられた彼女は、結局ひとりぼっちの部屋でママからの電話を受けるはめに。

 ヤケになったブリジッドは、解放を求めて音楽フェスティバルに出かけ、間違って入ったテントで、出会いサイト経営のジャック・クワント(パトリック・テンブラー)と、行きずりのセックスをしてしまう。そして、その数日後、マークの子供の洗礼式で、妻とは別居中という彼と、これまたノリでベッドイン。そしてめでたく妊娠するのだが、どちらがパパなのかが分からない。

  ここからの、お腹の子供の父親当てと、二人への妊娠告白の苦労がケッサクだった。ジャックをスタジオに呼ぶために、わざわざインタビュー番組を組み、メイク室で髪や爪を採取したり、「子供は好きですか?」と唐突な質問をしたり。何とか二人には妊娠を告げるものの、別の候補がいるとは言えず、会うたびにあたふた。本当は深刻で、笑いごとじゃないはずなのに、何度も笑わせるとびっきりの明るさ。ドジですっとんきょうで、場違いな発言で周りを引かせてしまうブリジッドは、これまでと変わらない。

 二人の反応は初めは微妙。だが、二人ともすぐに子供の父親として本気を出していく。相変仏頂面で、何を考えているのか分からないマークは、変わらないブリジッドへの愛に目覚め、自由に生きて女性にも多分モテモテだろうジャックも、思い切りの甲斐甲斐しさで、ブリジッドを支えようとする。10年も付き合ってダメだった男と、知り合ったばかりだけど魅力的な男が、彼女を巡って真剣なさや当て。しかも、弁護士と会社経営者という、どちらもリッチでビッグな男たち。これって、女性の妄想じゃないの?

 ブリジッドは終盤、自分がどちらを本当に愛してるのかと悩むのだが、結局子供の父親と結婚するというのは、意外にも普通の選択だった。ブリジッドはメデタシメデタシで完結していそうなのだけど、死んだはずのダニエルが生存してるという新聞記事が出たところ、このシリーズ、きっとまだ続くはず。
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2016年11月03日

グッバイ・サマー

 画家志望のダニエル。チビでかわいい顔のせいで、女の子に間違えられる彼は、クラスメートにからかわれてばかり。そこへ、家の手伝いのせいでガソリンの匂いを漂わせる風変わりなテオが転入してきて、孤独でマイペースな二人は意気投合。家の中でもモヤモヤを抱えた彼らは、遠くへ脱出しようと、スクラップを集めて作った車で、旅に出ることに。

 二人のキャラクターが魅力的。
 ダニエルは、外見とは裏腹に、好きなクラスメートのローラに相手にされず悩みながら、女の裸の絵を描いたりしてる、性に目覚めたいっぱしの男の子。機械に強いテオだが、ダニエルが弟とサッカーをしてると、音マネをしながら中継を始めたり、誰も来ないダニエルの個展に現れると、身分の高い人ですし詰めの会場に来たかのように振る舞って笑わせる。器用でひょうきんで、気が強くてしっかり者。

 家に擬態する車は、警察にも怪しまれず、パリをのろのろと南下していく。歯医者の庭に紛れ込んで泊めてもらうも、恐ろしげな道具に驚いて夜逃げしたり、長髪を切る決心をしたダニエルが、風俗店を兼ねた怪しげな店に入ってしまい、客のトラブルで途中で逃げたせいで、真ん中ハゲの落ち武者のような髪になったり。
 だが、スリルいっぱいのおかしな道中は、ロマの人たちの家を破壊する警察の非情な作業に巻き込まれ、車が燃やされてしまったことから、二人がケンカになって、空中分解してしまう。

 ダニエルは、人と同じことを嫌い、長髪にこだわりながら、女の子のような外見に悩み、テオに相談していた。どうしたら自分らしく振る舞えるかは、思春期の重大な問題だ。過干渉気味の母親も、彼にはしんどい。だが、それなりの愛情に満ちた普通なダニエルの家庭と違い、テオは、家で真面目に手伝っても、父に口汚くののしられる。病気の母も彼に辛くしか当たらない。そんな環境のなか、自尊心高く生きるテオは大物だ。だが、彼はダニエルに何かにつけてアドバイスしながら、本当は自分のことを、もっと聞いてほしかった。

 何とかパリに戻ってきた二人だったが、テオの父が引っ越しを決めていた。転入してきたばかりのテオだったが、もしかすると、今までも何度も転々とする生活だったのかもしれない。威圧的な父と兄の横で、大人びていたはずのテオが、急に小さく見える。抗えない突然の別れが、とてもとても切なかった。だが、二人の冒険は、きっと一生の宝物。ダニエルはテオから学んだことを、糧にして成長するだろう。
 
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