百貨店の化粧品売り場で働くオデット・トゥールモンド(カトリーヌ・フロ)。夫には死に別れ、美容師の息子ルディはホモでしょっちゅう相手を変えるし、娘のスー・エレンは無職で、プータローと家に同居。見た目は苦労の多そうな生活だが、彼女はバルタザール・バルザン(アルベール・デュポンデル)の小説に夢中になっているせいで毎日がハッピー。
そのバルタザールは、テレビで酷評されて落ち目になったうえ、妻がその批評家と浮気をしていると知って自殺未遂をしてしまう。自信喪失と孤独にさいなまれる中、オデットから送られた手紙に感激した彼は、妻に会うのを避けるために病院を抜け出すと、オデットの家に居候させてもらうことに。
憧れの作家をかくまう夢のような生活。地上5センチどころか、パリを眼下に空高く浮き上がってしまうのも分かります。しかし、バルタザール、自分のサイン会で「借金」なんて名乗った女性が、誰も来ないサイン会に再び現れ、それから本人の家で三度その人に会っても全然覚えていないなんて、それはあんまりでしょ。
オデットは普通に洗面所で顔を洗ってても、ジャングルに囲まれた広いバスタブでゆっくり手足を伸ばしているつもり。生活のすべてが幸せな幻想に包まれているけど、実際には地に足がしっかりついた堅実な女性。ノーベル賞に文学賞があるのも知らない教養のない女だけど、慎み深い賢い女性なのだ。
有頂天になりながらも、バルタザールと自分が住む世界が違い、彼が行きずりで自分にかかわっていることを知っている。彼が自信を取り戻すのを支え、帰るべき家族の元に帰してあげようと思う。だが、心の底では彼との恋を望んでいるので、実際には求愛に応じなかったのに、職場の友人に事実と反対の告白をし、それがもとで仲間たちの嫉妬を買ってしまう。理不尽に怒りをぶちまけられても、大声も上げずキレもしない静かなオデットは、見事に大人の女だと思う。
そして、やはり彼女は夢をみてる。それは運命の人と結ばれること。その一点を譲らない意味で、彼女は信念の人でもある。
ところで、「プライスレス」でもそうだったけど、ストーリーと関係なく、テレビをつけてる場面が超笑えた。気まずいテーブルでテレビをつけると、「羅生門」らしい場面。しかも本物とはちがうみたい。そぐわな過ぎで吹き出してしまった。
2008年04月16日
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えっ、「羅生門」の偽者。。。。
ボーッと見ている私は全然気が付きませんでした。
著作権の関係でニセモノなんだろうか。
それにしても長女の彼氏、あんなかさ高いプー野郎が居候してるなんて、
私やったらとっくにキレてます。( ̄▽ ̄;A
オデットが単なる夢みる夢子さん(この言い方って死語(笑))
ではなく、地に足がついたしかも誠実で包容力のある
女性で浮き浮きするから可愛さ倍増!なんですよね。
彼女の潔さもステキ(=^_^=)でした。
ようこそ。コメントありがとうございます。
京町子(古〜!)、もっと綺麗で、あんな不気味じゃなかったと思うんですよね。でも、巫女の場面だったのかも知れないし、別の映画だったかもしれません。いい加減なことを書いてしまったかも。ごめんなさい。
お母さんとしてのオデットは本当に大変な状況ですよね。私だったら、プー男のことだけでも毎日グチグチ言いまくってると思います。そんな現実から少し離れている余裕と、それでいて実はみんなを包み込んでいる優しさと賢さがステキでした。
TB,それにコメントまで頂いて、どうもありがとうございましたm(_ _)m
そうそう!すっかり忘れてましたが、テレビをつけて、そこでやってる内容が・・・(^^;;)
私も笑えました〜♪
あれは本物っぽくなかったですよね〜。
でも、羅生門ってわかるなんて、すごい〜!
ヘタな日本語話してましたが、一体どこでどうやって作られた物なのかな〜?って思ったのを思い出しました。
>生活のすべてが幸せな幻想に包まれているけど、実際には地に足がしっかりついた堅実な女性。
ほんとにそうでしたね〜。
そこが彼女の魅力の1つでしたよね。
明るくて前向きで、いつも空想してそうだけど
ちゃんと物事に対する考えも持っていて、それが
しっかりしてる。いいわ〜〜オデット♪と思いました。
私の方こそ、お出でくださってありがとうございます!
テレビの場面は、「羅生門」かそのフェイクか、実際自信はないです。ただ、日本映画であのメイクと衣装はそれらしいかな、と。全然ちがう映画かもしれません。適当なことを書いてごめんなさい。
でも、他にいくらでもチャンネルが選べるのに、あの場面で日本の超古い映画が映るのがウケました。細かいところで笑いを取る、みたいな感じでしょうか。
オデット、本当に魅力的でしたね。一見、空想に頼って面白くない日常から逃げているように見えて、実は自分をしっかりもってて、何事にも力まず自然体で向き合えて。明るいし、芯の強い人だと思います。
特別美人でもない、ただのおばさんだけど、とても素敵なヒロインでした。