2008年06月21日

幻影師アイゼンハイム

19世紀末のウィーンで、妖術のような不思議な奇術を見せる幻影師・アイゼンハイム(エドワード・ノートン)は、皇太子の許婚になっていた幼馴染のソフィー(ジェシカ・ピール)と再会する。もともと身分が違うために仲を裂かれた二人は、人目を忍びながら言葉を交わすように。アイゼンハイムの奇術を人心を乱すものとして嫌う皇太子は、仲間内で開いたショーの席で恥をかかされて憎しみを募らせる。そして、ソフィーの裏切りを知ると、別れを告げて去っていくソフィーに激昂し、館の外に彼女を追って殺害する。
 
 オレンジの木がみるみる間に育ったり、蝶がハンカチを運んだり、よくテレビで見るような超魔術よりすごい。映像はもちろんCGだけど、皇太子やウール警部の種明かしが知りたい気持ちは分かる。幽霊が現れる場面は、アイゼンハイムが映写技術を使っているのだろうと思ったので、死んだソフィーの姿が現れた時は、彼は超能力者ということなのか、と思った。だが、最後の最後にソフィーの死さえが仕組まれた幻影だと分かる場面で、やはりソフィーを先撮りしたものだったんだと思った(しかし、スクリーンに映しているわけではないので、やっぱり不思議)。

 ショーでソフィーの幽霊が現れると、観客は女性殺しの前科のある皇太子への疑いをむき出しにする。そして、胸に着けていたロケットがなくなった、という彼女の言葉から、ウール警部は皇太子の馬小屋で、彼が容疑者である証拠をつかむ。これらが全部アイゼンハイムが仕掛けたものだったとは。二人で逃げても必ず捕まって殺されるのだから、先手を打ったということなのだろう。しかし失血しても死なず、しかも死体を疑われないのはやはり超魔術。

 皇太子に仕え、彼の命のままに動きながら、アイゼンハイムの奇術に魅せられて彼の逮捕を躊躇するウール警部がいい。皇太子への疑いを口にする市民をけん制する口調には、威嚇というより、むだな弾圧を加えたくない穏やかな人となりがうかがえ、自然に彼を信頼して彼の目を通して事件を見ていたので、最後の謎解きも、結局彼の推理と確信が語られるだけなのだが、意外などんでん返しに驚きながらも物語の結末として納得できた。

 派手なコスチュームも調度の豪華さもないが、くすんだクリーム色の街や暗い舞台が美しかった。
 
posted by HIROMI at 17:26| Comment(4) | TrackBack(19) | 日記
この記事へのコメント
こんにちは!
あの幻影のトリックは最後まで明かされないまま終わりましたが、知りたいですね。
魔術もミステリアスだけど、アイゼンハイムもミステリアスな男でエドワード・ノートンがうまく演じてました。
過去の映像になると、端が黒ずんで古びた写真みたいで味わいがありましたよ!
Posted by アイマック at 2008年06月22日 11:27
アイマックさん
コメントありがとうございます!
幻影は、ショーの観客のような気持ちになりました。琥珀色の色彩もきれいでしたよね。
サスペンスでもあるし、ムール警部や皇太子との心理劇でもあるおもしろい映画だったと思います。ノートンの知的で不敵でミステリアスな表情がぴったりでした。
Posted by HIROMI at 2008年06月22日 18:56
HIROMIさん
今晩は★☆
久しぶりにエドワード・ノートンの演技を観ましたが、彼はやはり凄い役者さんだと実感ですね。
映像もシュールで何か幻想的なので、この作品にぴったりはまっていました。ほんまに騙されましたね。ウール警部の想像が本当なら、アイゼンハイムは只者じゃないですね。ソフィへの愛だけにここまでやるなんて・・・・。TB&コメントありがとうございましたm(__)mまた宜しくです!
Posted by mezzotint at 2008年07月12日 22:04
mezzotintさん
お越しくださってありがとうございます。
エドワード・ノートン、謎めいた雰囲気で、アイゼンハイム役に見事にハマッていましたね。
まったく、事件そのものがアイゼンハイムの仕掛けたイルージョンだったとは驚きです。彼と皇太子の立場が、実は信じさせられていたことと真逆だなんて。いろんな意味で、まんまと煙にまかれた感じ。ソフィとの幸せは祈りたいですが。
こちらこそ、またよろしくです!



Posted by HIROMI at 2008年07月12日 23:17
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