2016年02月27日

ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります

 ニューヨークのブルックリンに住むアレックス(モーガン・フリーマン)とルース(ダイアン・キートン)。新婚で移り住んで40年が経ち、田舎だと思われていた街はオシャレに変貌。一方、エレベーターのないアパートの最上階の住まいは、老境の身には不便になってきて、アレックスを心配したルースは、新居に引っ越そうとアレックスを説得。姪で不動産ブローカーのリリー(シンシア・ニクソン)が早速始動して、明日が家の内覧会となっていた。

 エネルギッシュで明るいルースと、ゆったりと落ち着いて寡黙なアレックス。白人と黒人間の結婚が珍しかった時代に結婚し、慰め支え合って生きてきた。大きく開いた窓から、街が広がる光が満ちるアトリエ。屋上には菜園もある落ち着いた住まいは、二人の幸せで温かな人生を、そのまま表しているようだ。

 思い出の詰まった部屋でも、リリーの眼にはあくまでも物件。アレックスが描きためた数々の絵は、内乱の邪魔になるガラクタ。及び腰のアレックスの中で、引っ越しへの疑問がつのっていく。愛犬ドロシーが急に歩けなくなったかと思うと、街にはテロ騒ぎが起こり、通院も大変。渋滞で移動が面倒な街に対して、家の中がさらに快適に見えてくる。

 他人がずかずかと入ってくる内覧会。電気のスイッチをパチパチする子供と、それを叱らない母親とか、訓練中という介護犬志望のおバカな犬連れとか。知ってる人の家では見せるはずのお行儀や遠慮が吹っ飛んで、値踏みしたり物色したりの本音丸出しで押し寄せるさまが滑稽だ。

 貧しかった二人が住んだアパートは、今や高値がつき、リリーが仕切る入札やオファーで買い手がつきそう。すぐにも新居が必要だと思った二人は、あわただしく新居探しに向かい、自宅に来た人たちと何度も遭遇しながら、とうとう気に入った家にめぐり会うのだった。

 自分の家に住む人を選ぶ時、ルースは値段よりも、養女を迎える予定だとか、メッセージの内容とかに惹かれていた。自分が今度住むことになる家の持ち主がどんな人物なのかも、同じように目に入るのだと思う。
 競争相手に勝つために、あわてて契約しようと訪れたところ、テレビにテロの容疑者が映し出される。怖くなって事故現場から逃げただけのように見える、大人しそうな犯人。画面の男に向かって、家の持ち主が吐き捨てる汚い言葉。値段に不満を言い募る不機嫌なその妻。不快に感じたアレックスは、突然引き返そうとするのだ。

 リリーの高飛車な指図に振り回されていた。だが、自分たちの暮らしは自分たちで決めるのだ。不安に思った老境も、このまま乗り越えられると、自分たちの力を認識する。これからもずっと恋人のままの二人が、とても素敵だ。
posted by HIROMI at 11:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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