2008年08月01日

白い馬と赤い風船

カンヌ映画祭の1953年度グランプリの「白い馬」と、56年のパルムドール「赤い風船」を観た。

 「白い馬」は、フランス南部のカマルグ地方を舞台に、強く美しい野生の白い馬と、漁師の少年の交流を描いたもの。捕まえて飼いならそうとする馬飼いたち。白い馬に魅せられた少年は、馬飼いに狙われる馬と心を通わせるが、彼らに追われた末、海に飛び込んで波に消えていく。

 「赤い風船」は、街灯に引っかかった風船を見つけた少年の話。大事にされた風船が少年を慕い、手を離してもそばを離れず、学校が終わるもの待っている。だが、子どもたちが風船を狙って石を投げ、ついには割られてしまう。その瞬間、町中の風船が少年のもとに集まり、彼を大空に運んでいく。CGのない時代なのに、生きているように動く風船が不思議だった。

 どちらも映像が美しくて詩的だが、結末は悲しい。主人公が孤独で、人間以外のものと心を通わせるが、それを奪おうとするものたちに追われ、自分たちの世界を守るためにこの世とは違う世界に行く、という点が共通。「白い馬」の少年は、沖で波に流されながらも馬に乗って進んでいるし、「赤い風船」の少年も、色とりどりの風船につかまって楽しそうに大空に浮かぶ場面で終わるけど、夢とかポエジーとかの明るい言葉より、死を連想してしまった。彼らは多分、二度と帰ってこないだろうから。
 
 「赤い風船」はパリ20区のメニルモンタンが舞台だそうだが、50年前のパリがくすんだ茶色と灰色の街で、現在とずい分違うのに驚いた。色彩のきれいなパリは比較的最近の風景で、何百年もの間、この映画のような街だったんだろうか。悪ガキたちに追われる少年が風船を持って走る迷路のような路地。自動車の型もとびきり古いが、道に馬車が止まっていたり、ガラス売りが呼び声をあげて歩いていたり、当時の風俗が興味深かった。
 
posted by HIROMI at 23:11| Comment(0) | TrackBack(4) | 日記
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