2016年07月26日

裸足の季節

 トルコのイスタンブールからはるかに離れた小さな村。両親を失くし、祖母と叔父のもとで暮らすソナイ、セルマ、エジェ、ヌル、ラーレの5人姉妹。学期が終わり、転任してしまう大好きなディレッキ先生と別れを惜しむラーレ。その後、海岸で男子生徒と騎馬戦をした彼女たちだったが、家に着くや、怒りで取り乱した祖母に折檻される。隣人が、彼女たちがみだらなことをしていた、と告げ口をしたのだ。叔父も激怒。姉妹たちは、家に閉じ込められてしまうのだった。

 姉妹たちは、パソコンや携帯の他、こまごました私物も捨てられ、ラーレが「クソの色」と呼ぶ暗い色の服を与えられ、料理や掃除などの花嫁教育を受けさせられる。そして、一人、また一人と、知らない男と結婚させられていくのだった。

 豊かな長い髪、のびのびした手足。家の外でも中でも、ふざけ合う姉妹たちは、ほとばしるようなエネルギーにあふれている。だが、周囲にとって、それは手に負えない危険なものでしかない。処女検査とか、初夜のベッドの血を身内に見せる風習とか、驚くような場面があったが、女性を一人の男のものとしか見ない社会では、少女たちの性を管理するために、彼女たちの一挙手一投足を、すべて性的なものにつなげているようだ。だから、ただ元気のよい遊びがセックスに連想され、普通の自己主張である服や、アクセサリーや化粧品が、男を誘惑するための不埒なものとして扱われるのだ。
 
 新学期が始まっても、姉妹たちは学校へも行けない。犯罪ではないのか、と思えるひどい仕打ちを、誰もおかしいとは思わず、正しいと信じている。親戚も地域も同じ考えだし、保護者の権限が大きくて、どこからも救いの手が届かないのが恐ろしい。

 それでも、彼女たちの自由を求める気持ちは抑えきれない。だが、苦労して抜け出し、みんなでサッカー観戦に行ったあとも、姉たちが次々と嫁がされ、ラーレが一人家を抜け出したあとも、それらが見つかるたびに、監禁状態は益々厳重になっていく。だが、外に出るチャンスをつかむ度、賢いラーレは、脱出のための収穫を得ていた。トラック運転手のヤンと知り合って、車の運転を教えてもらう。そして、枕に自分の髪を縫い付けたり、鍵の在処や、天井裏からの出口を見つけたりと、周到に計画。ついに、ヌルの婚礼の日、花婿をじらす慣習を逆手に取って、家に籠城するのだ。厳重な監禁が、娘たちに有利にどんでん返る痛快。だが、逃亡はまさに命がけだった。

 あまりにも生きづらい社会。だが、ヤンのような男の人や、ディレッキ先生のようにラーレを理解してくれる人もいる。ラーレの選択の先に、きっときっと、彼女の望む人生があることを信じたい。 
posted by HIROMI at 20:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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