2009年12月26日

しのび逢い

 ジェラール・フィリップ没後50年特別企画で「しのび逢い」を観た。あの手この手で明るくきびきびと口説いたのに、手に入れたら神経質で憂鬱な雰囲気になる、利己的で調子のいい色男。浮気な男が次々と女性を陥落させていくところは、「奥様ご用心」と似てたかも。

 妻の友人パトリシアに恋をしたアンドレ・リポアは、妻が離婚の相談に出かけている間にパトリシアを呼び寄せて口説き、自分の真剣さを信じてもらうために、過去の恋愛遍歴を語って聞かせる。

 高圧的な女性上司アンを懐柔するために彼女の恋人になったものの、もともと恋をしてないので、ささいな喧嘩で他の女性に乗り換える。
 次のノラは、何でも家族に相談する身持ちの固い女性。それをしつこく口説き、遺産相続の嘘でも気を引いて、結婚の約束で有頂天にさせるが、母に会って欲しいといわれて姿を消す。
 その後、アンを裏切ったせいかどうか会社を首になり、家賃も払えずさまよう道で、娼婦のマルセルに拾われる。彼女の世話になりながら、友人に紹介されたり遺産相続の話に喜ぶ姿がうっとうしく、やっぱりおさらば。
 それからフランス語教師で生活するも、やる気がなくて生徒が減るなか、キャサリンが現れて結婚した、という。

 安い賃金のつまらない仕事と高圧的な上司、とか、特に仕事にあぶれて街をうろつく姿は哀れ。でも同情を感じる場面からすぐ、女性とのあっけない別れがくる。
 清純なノラは、アンドレの失踪後どう生きたんだろう。彼を幸せにしてあげるといった気のいい親切なマルセルは、空の家に戻ってどんなに驚いたろう。二人とも、相続の話に夢中になり、アンドレはそれにうんざりするが、そもそもウソをついたのは彼自身だし、計算高いのも彼自身。キャサリンと結婚したのも、彼女が裕福な女だからだ。

 キャサリンが離婚を決めたのは、アンドレの浮気。つまり、彼がパトリシアに話した以上に、彼には秘密があるはずで、やっとパトリシアの気持ちが傾いた時、別の女性がドアに現れる。一体アンドレの気持ちは本当なのか。だが、彼女が去ったあと、絶望したアンドレが泣く場面で、やっと彼の本心が伝わってきた。だが、あきらめ切れないアンドレが、またも策略をしかけたせいで、彼の運命はさらに暗転。皮肉な結末は、哀れなような、可笑しいようなだった。

 なぜか舞台はロンドン。ガス燈を点灯する場面があって、古い街の姿が興味深かった。
posted by HIROMI at 22:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/34404475

この記事へのトラックバック