2010年07月10日

ジュリー&ジュリア

 男女共同参画推進センターの「ふらっとシネマ」で「ジュリー&ジュリア」を観た。

 1947年、夫の転勤でパリで暮らすことになったジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)は、食べるのが大好き。コルドン・ブルーに入学し、アメリカの食卓に革命を起こしたといわれる料理本を出版するまでに。
 そして2002年のアメリカ、9.11の後処理の会社に勤めるジュリー・パウエル(エイミー・アダムス)は、ジュリアの書いたレシピ524を、364日間に作り、ブログに掲載することを決意する。

 パリの屋敷に越してきたジュリア、ニューヨークの街のピザ屋の2階に引っ越してきたジュリー。帽子作りを習ったり、カードを習ったり、自分に何が向いているのか模索するジュリア、仕事に疲れ友人関係に疲れ、自己実現の対象を探すジュリー。50年という年月を隔てた二人が夢を叶えるまでの軌跡はよく似ていて、その二つが平行して交互に映される。その姿がどちらもとてもチャーミング。

 ジュリアはコルドン・ブルーに入学するが、そこは男ばかり。玉ねぎの薄切りがうまくできない彼女に注がれる冷たい視線。それを跳ね返すべく、家で山のように玉ねぎを切り、キッチンに入った夫は、臭いと涙ですぐ退散。そんな努力の甲斐があって、メキメキ腕を上げて卒業するものの、意地悪い女校長は免許を出さない。何とか実力を活かそうと道を探す彼女の前に、ムシカとルイゼットが現れ、三人で料理教室を始めることに。そして、二人が書いたもののボツにされていた原稿を書き直し、お抱え料理人や助手がいなくても、本格フランス料理を作れる手引書を作っていく。
 一方のジュリーは、毎日ジュリアのレシピと格闘。フルタイムの仕事から帰ってからの本格料理。しかも毎日だし、いちいちブログに載せなきゃならない。おいしいデザートにうっとりしたり、出来上がった料理の絶品ぶりに満足したり、と着々と進むばかりじゃなく、生きたロブスターをビクつきながら無理やり煮たり、苦労したゼリーがぐちゃぐちゃに崩れて泣きじゃくったり。

 二人の大きな共通点は、目標に向かって一途に進むこと、そして、愛してくれる理解ある夫の支えがあること。ジュリアとポール、ジュリーとエリックは、パンとバターのように、ともになくてはならない存在。若いジュリーたちはともかく、年配に見えるジュリアたちのラブラブぶりは、赤面しそうなほど。マッカーシー旋風の吹き荒れた時代で、リベラルなポールはワシントンに呼び戻されて尋問を受ける。あなたはゲイですか、だって、なんて愚かな質問でしょう。
 ジュリーのブログは次第に注目され、反響も上々。そんななか、ジュリアの本の編集者だった人が家を訪れることになったのに、雨で中止。腕をふるって待ったのに。読者は期待してるのに。落ち込むジュリーだが、挑戦の苦しさに気持ちの余裕のない彼女にキレて、エリックは家を出て行ってしまう。料理の失敗にめげて仕事を休んだりも。う〜ん、それはキツいよね。だが、反省の弁をブログで読んだエリックは戻ってきてくれる。事情は違うものの、夫婦が少しの間だけ離ればなれになる、ということまで二人はそっくりなのだ。

 ジュリアは本を書くのに何年もかけている。その一部を、親しい友人に送り、絶対誰にも見せるなと言っていたのに、編集者に見せられ、それが相手の眼に留まって、ついに出版できることに。そして、ジュリーの留守電に入っていた50ものメッセージも、出版の夢を叶えるものだった。知らせを読んだジュリアの喜びよう。受話器をもつジュリーの目の輝き。ジュリーが、ジュリアの肖像写真に顔を寄せて、彼女への憧れと尊敬を体一杯に表す場面もステキだった。
posted by HIROMI at 22:31| Comment(0) | TrackBack(6) | 日記
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