2010年11月23日

約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語

 自分でワインを醸造するする夢をもつ葡萄畑の小作人ソブラン(ジェレミー・レニエ)。美しい娘セレスト(ケイシャ・キャッスル=ヒューズ)に恋するも父親に反対され、ワイン作りの夢も取り合ってもらえない。そんなある夜、天使(ギャスパー・ウリエル)が現れ、彼の助言に従ってセレストに手紙を書いたソブランは彼女と結ばれた。そして、再び現れた天使は、修道士が育てた葡萄の苗をソブランに渡し、尾根に植えるよう助言した。

 緑に輝く葉、お祭りに連れて行く馬やウサギや豚、広い葡萄畑が映るかと思うと、ミミズやカナブンなど小さな虫が土の上に動くし、明るい夏や雪に埋もれる冬など、豊かな自然に訪れる四季の景色が美しかった。

 ソブランは天使に守られていると信じるが、ナポレオン軍に志願して命からがら帰ってくると、父親が死んでいたり、幼い次女が病死したり、葡萄の木が枯れてしまったり、数々の悲しみや苦労に襲われる。そのたびに天使を責めたり感情をぶつけたり。一方、醸造所の主人の姪オーロラ(ヴェラ・ファーミガ)は、叔父が死ぬとソブランを右腕として雇い、彼はワイン作りを成功させていく。

 オーロラは初めてソブランを見た時から彼に興味を抱いていて、セレストは夫がオーロラに誘惑されないか心配している。だが、オーロラはセレストの存在を全く意識していないよう。オーロラが目隠しをしてワインのテイストをソブランから学ぶ場面は危険な香り。彼女は、相談だの何だのと、ソブランが一人でいる時に何度も現れる。だが、その時は何も起こらないのに、何年も経たあとなぜかソブランの長女が結婚した日に結ばれる。
 天使はソブランの幻視ではなく、実際にいる者として描かれているが、何とも艶かしい美青年。ソブランとは友情のような同士愛のような感情が流れていたのに、天使がソブランを誘惑する場面があって仰天した。それを目撃したセレストは、娘を奪ったうえに夫まで奪うのかと狂乱。
 ソブランをめぐる、妻とオーロラと天使の4角関係という、長くて奇妙な物語に見えた。ソブランは、天使との秘密をオーロラだけに告白するし、最後を迎えたソブランを三人が囲んでいた時、ソブランは妻と娘を帰らせ、彼に最後のワインを飲ませるのは、天使とオーロラ。苦楽をともにしてきたはずのセレストの影が、途中からどんどん薄くなるのはなぜだろう。

 ソブランは野心家だという以外、彼の人間性はあまり分からなかったし、どの登場人物も格段魅力的には映らなかった。オーロラの乳がん手術とか、天使が羽を切って人間になるとか、物語のなかでどういう意味があったのだろう。どちらもひどく痛そうだった。

 土をなめて、土壌を見分ける場面が興味深かったし、ワインの風味を果物や木や鉱物など、さまざまなものに表現するのがきれいだった。風俗も遠い歴史を思わせた。ワインが飲みたくなったかといえば、もちろんその通り。
posted by HIROMI at 23:15| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記
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